他アプローチの方と短期力動療法について語り合う


 緊急事態宣言が発令されている中でのGWですね。皆様どのようにお過ごしでしょうか。私は昨日今日と2時間ばかりオンラインでのイベント?勉強会に参加していました。

 初台で個人開業されている岡本亜美先生(精神分析家候補生)が主催する短期力動療法のイベントです。岡本先生も翻訳に参加されている「短期力動療法入門」を用いて行われました。

 1日目は坂田昌嗣先生(京都CBTセンター/京都大学大学院)が「短期力動療法入門」を読んでみてのいろいろな感想や考えられたことなどをお話してくださいました。
 2日目は「短期力動療法入門」の監訳者の一人である妙木浩之先生(南青山心理相談室/東京国際大学/精神分析家)が短期力動療法について講義してくださいました。


 短期力動療法とは、簡単にいうと精神分析の理論や技法を出発点に治療の短期化を目指し、様々な工夫を取り入れている治療法を指します。様々な工夫とは例えば治療の焦点化、時間制限法、徹底した抵抗・防衛の解除、感情体験の促進、そのほか行動療法的手法の取り入れなどです。そのため、短期力動療法といっても様々な種類があり、研修会の中でも話題に出ましたが、精神分析(精神分析的心理療法)とはかなり異なるものです(共通点ももちろん多々ありますが)。


 正直なところ、短期力動療法は日本では流行っていないと言わざるを得ません。しかし、「出来るだけ早く治してほしい」というクライアントの要望は実際あるでしょう。そのため、短期力動療法というアプローチはこれからもっと注目されていっていいのではないかなと私自身は考えています。日本にはあまり訓練する場所がないという問題もあるのですが…。

 ちなみにですが、みなさんは心理療法の「短期」といった場合どれくらいの期間を考えられるでしょうか?一概には言えないのですが、書籍の中では「40時間」といった期間が出てきます。週1回50分のセッションで考えれば約1年といったところでしょうか。これを長いとみるか短いとみるかはその方の抱いている心の問題や悩みにもよるでしょう。



 ただ、今回はそれよりも他アプローチの専門家の方と学びあう研修会だったため、非常に刺激的な時間になりました。お気づきの方もいるかと思いますが、坂田先生は精神分析(的心理療法)や力動的心理療法の専門家ではなく、認知行動療法(CBT)の専門家の方です。CBTの専門家の方が「短期力動療法入門」を読み、精神分析家候補生である岡本先生と対談するというイベントでした。

 そして、このオンライン研修にはCBTセンターの先生方も数名参加され、またロジャーズ派の方や、看護師の方も参加されるなど専門性がかなり異なる方々が集まって行われました。臨床歴もかなりバラバラのようでしたし、臨床の場(職域も住んでいる地域も)も様々でした。こうした様々な方のお話が聞けるのはオンラインのありがたいところですね。


 お互いの専門性が異なると、臨床活動をしているという意味では同じなわけですが、実践の中での「当たり前」が異なり、「使う言葉」も異なり、「理解の枠組み」も異なることを改めて痛感させられます。そしてそれは自分が学んでいる治療技法にどのような特異性があるのかを改めて考えるきっかけにもなりました。


 こうした異なる専門家同士の勉強会は近年増えているように感じます。以前は認知行動療法と精神分析は仲が悪かったりしたのですが、今はあまりそういう雰囲気は薄くなっているのかもしれません。

 異なるアプローチの専門家同士が、お互いの治療法の特性やメリット・デメリット、どのような方に適しているのかなどを理解しあうことは、クライアントの方々の利益にもなるわけです。目の前のクライアントさんに認知行動療法が適していると思われるときには信頼できる認知行動療法のセラピストを紹介できた方がよいわけですからね。しかし現状そのように出来ている方は少ないのではないかと思います。今後の課題かなと思います。



 だらだらと書きつらねてしまいました。とにかく、また参加したいと思えるとても良い研修でした。今度は認知行動療法系の本を精神分析系の先生が読んで、対談するというのも良いかもしれませんね。
 短期力動療法の中身についてはブログで機会があれば書きたいと思います。

2021年05月02日